パスワードが漏れても入らせない。「どの端末から」で会社のデータを守る入口対策
最近の不正アクセスは、パスワードを当てずっぽうで試すのではなく、どこかで漏れた「本物のパスワード」で入ってきます。パスワードはいつか漏れるもの、と考えたうえで、「会社の端末からしか入れない」ようにしておく。これが、いま中小企業にこそ効く入口対策です。
パスワードは、気づかないうちに漏れている
社員のパソコンに入り込んで保存されたパスワードを抜き取るウイルスや、利用している他社サービスからの流出で、IDとパスワードは裏で売り買いされています。攻撃者はそれを使って、正面から堂々と入ってきます。システムから見れば「本人のログイン」なので、気づくのが遅れます。
「鍵」だけでなく「状況」を確かめる
コンテキストアウェア アクセスは、ビルの受付にたとえると分かりやすい仕組みです。これまでの入口は、鍵(パスワード)が合っていれば誰でも通していました。コンテキストアウェア アクセスは、鍵に加えて「会社の社員証を下げているか」「会社の制服を着ているか」まで確かめる受付です。
中小企業でも始めやすい2つの条件
1. 会社の回線(LAN)からだけ入れる
いちばん分かりやすいのが、オフィスのネットワークからだけ会社のメールやファイルを開けるようにする方法です。インターネット回線の「固定IPアドレス」を条件にするので、パスワードが漏れても、社外からは入れません。プロバイダーとの固定IPアドレスの契約が必要です(追加料金がかかるのが一般的です)。
テレワークや外出先での仕事がある会社は、「会社の回線からまたは会社の端末から」のように、条件を組み合わせて使えます。
2. 会社の証明書が入っているパソコンだけ入れる
証明書は、会社が発行する「デジタルの社員証」です。これまで証明書を使うには、専用のサーバーを用意したり、1台ずつ入れて回ったりする必要があり、中小企業にはハードルの高い仕組みでした。
コンテキストアウェア アクセスでは、会社が配った証明書が入っているかどうかを入口の条件にできます。証明書のあるパソコンだけが入れて、攻撃者のパソコンからは入れません。
証明書の配り方も手軽になっています。Chrome には、会社が管理する Chrome のプロファイル(会社のアカウントでログインした Chrome)に、Google の認証局が証明書を自動で配る仕組みがあり、対応するアクセス管理の仕組みと組み合わせて使えます。Chrome を管理する機能(Chrome Enterprise Core)は無料です。
盗んだパスワードだけでは入れなくなる
攻撃者が使うのは、たいてい自分のパソコンです。パスワードが正しくても、会社が管理する端末ではなく、会社の証明書も入っていないため、入口で止まります。社員の私物パソコンについても、「メールは見てよいが、共有ファイルは開けない」のように、アプリごとに線を引けます。
ただし、万能ではありません
- 「日本から」だけでは弱い。国内を経由すれば、海外からでも日本に見せかけられます。本命は「会社の端末か」という条件です。
- 会社のパソコンそのものを乗っ取られると、条件を満たしてしまいます。更新を止めない、ウイルス対策を入れるといった基本と組み合わせて使います。
- 一度持ち出されたデータは戻りません。ダウンロードや印刷を制限する持ち出し対策も、あわせて考えておくと安心です。
経営者が決めておくこと
- 守りたいデータはどれか。顧客名簿、見積・契約書、経理データなど、まず優先順位を決めます。
- 私物の端末を仕事に使わせるか。認めるなら、どのアプリまでかを決めます。
- どこまで費用をかけるか。この機能は Google Workspace の上位プラン(Enterprise など)で使えます。Business プランでは使えないため、プランの見直しが必要な場合があります。
始め方は3ステップ
- まず二段階認証を固める(セキュリティキーでの二段階認証がおすすめです)
- 「会社の端末から」の条件を、止めずに記録だけ取る「監視モード」で1週間ほど試す
- 困る人がいないことを確かめてから、本番にする
監視モードで試してから本番にすれば、「ある日突然、社員が仕事できなくなる」事態を避けられます。
自社でどこまで絞れるか、一緒に考えます
今お使いの端末と働き方を伺い、業務を止めない条件づくりから、試験運用、本番化までお手伝いします。ご相談は無料です。